日本産本わさびの希少成分「ヘキサラファン(6-MSITC)」の身体の酸化ストレス指標に関する探索研究

投稿日:2026.03.08  |  更新日:2026.03.09

私たちは、「サイエンスと日常をつなぎ、人々の可能性を拓く」ことをミッションに掲げて活動しています。今回は、サイエンスを日常へ届けていく活動の一環として、私たちのサイエンティストが主導した、日本産本わさび由来の希少成分「ヘキサラファン(6-MSITC)」に関する探索研究をご紹介します。細胞レベルでの「サビ(酸化ストレス)」にどうアプローチし、私たちの健康にどのような可能性をもたらすのか、わかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 身体の酸化ストレス(サビ)とその計測指標「8-OHdG」について
  • ヘキサラファンが細胞の防御スイッチ「NRF2」を入れる役割
  • 探索研究紹介:ヘキサラファン含有サプリを4週間の摂取し、尿中および精液中の酸化ストレスの変化を比較

身体の酸化ストレスとその指標「8-OHdG」について


私たちは日々の呼吸や活動を通して、体内で「活性酸素」を発生させています。活性酸素は、免疫機能などで重要な役割を果たします。一方、過剰に増えると自身の細胞内のDNAまで酸化させてしまい、ダメージを受けた状態を「カラダの酸化ストレス(サビ)」と呼んでいます。
酸化したDNAの一部は「8-OHdG(8-hydroxy-2’-deoxyguanosine)」という物質に変化し、DNA上に形成された8-OHdGが増えると、老化や発がんリスクの上昇に関連すると考えられています。

尿と精子の8-OHdGを測定することで身体の酸化ストレスを調べる
私たちの身体には修復機能が備わっており、不要になった8-OHdGは尿として体外へ排出されます。そのため、尿に含まれる8-OHdGの量を測ることで、身体の酸化ストレス度合いを知ることができるのです。また、精子においても同様に、酸化ストレスが進むと、精子のエネルギー源であるミトコンドリアのDNAがダメージを受け機能が低下し、最終的にうごけなくなると考えられています。この精液中の酸化ストレスも8-OHdGの量を測定することで調べることができます。

抗酸化作用のあるヘキサラファン(6-MSITC)


わさびの根茎に含まれる希少な健康成分である「ヘキサラファン (6-MSITC : 6-methylsulfinylhexel Isothiocyanate、以下ヘキサラファン)」は、これまでも⾮臨床研究において抗酸化作⽤※1や抗炎症作⽤に加えて抗菌活性、抗癌活性、抗⾎⼩板凝集抑制活性など※2※3の多彩な薬理効果があることが報告されています。 また近年、「ヘキサラファン」 をアルツハイマー型認知症モデルマウスに継続投与させることで、認知機能が改善したという報告もされており、その作⽤機序として「ヘキサラファン」 がNRF2※4を活性化し、酸化ストレスが抑制される事が⽰唆されています※5
また、ヒトを対象とした最新の研究でも、前向きな成果が報告されています。東北大学の研究グループが60歳以上の健康な方を対象に行った試験では、「ヘキサラファン」を12週間続けて摂取したところ、「エピソード記憶(出来事の記憶)」や「ワーキングメモリ(作業のための記憶)」といった認知機能が改善するという研究結果が確認されました。※6
※4 NRF2とは:酸化ストレスから細胞を守るスイッチのような役割を持つ因子のことです。

【研究紹介】ヘキサラファン含有サプリメントの摂取試験※7


  • ヘキサラファンの可能性を探索的に評価するため、以下の臨床試験を実施しました。
  • 本試験食品:「ヘキサラファン(6-MSITC)」含有サプリメント(1粒に1.6 mgの「ヘキサラファン(6-MSITC)」を含む)
  • 摂取方法:1日1粒、4週間
  • 有効解析対象者:20歳以上~60歳未満の男女59名
  • 検査方法:検査キットを用い、本試験食品摂取前後の尿中あるいは精液中の8-OHdGを測定(尿中8-OHdGについては、尿中クレアチニン値で補正)
  • 研究担当者:NOMON & Co.株式会社 執行役員/CPO/博士(薬科学) 中島 良太
  • 研究実施施設:株式会社ヘルスケアシステムズ

研究結果

  1. 尿中の酸化ストレスレベル(尿中8-OHdG) 59名全体の平均では摂取前後に大きな差はみられませんでしたが、摂取前の時点で「酸化ストレスが高め(中央値以上)」だった24名の方に絞って解析したところ、4週間後には尿中の8-OHdGが有意に低下していることが確認されました。
  2. 精液中の酸化ストレスレベル(精液中8-OHdG) 男性の参加者(29名)を対象にした検査の結果、すべての男性において、摂取後に精液中の8-OHdGが低下していることが確認されました。

グラフの見方:縦軸は尿中(図1)/精液中(図2)の8-OHdG量を表しています。ヘキサラファン含有サプリメントの摂取前後で各々の8-OHdG量がどれだけ変化しているのかを調べています。

グラフの見方:縦軸は尿中(図1)/精液中(図2)の8-OHdG量を表しています。ヘキサラファン含有サプリメントの摂取前後で各々の8-OHdG量がどれだけ変化しているのかを調べています。

考察

本試験食品を4週間連続摂取することで尿中および精液中の8-OHdGが低下する効果が認められました。本試験食品に含まれている「ヘキサラファン」 には、NRF2を活性化する作用があることが、動物実験において報告されていることから、本研究における尿中および精液中8-OHdG の低下も同じくNRF2活性化作用によるものである可能性が示唆されました。今後、ヒトにおける「ヘキサラファン」の研究が進むことでさらなるエビデンスが蓄積される事が期待されます。

[ 引用・参考文献 ]

※1 Mizuno K., et al., J.Pharmacol. Sci., 115 (3):320-328, 2011
※2 Uto T., et al., Advances in Pharmacol.Sci. Article ID 614046, 2012
※3 Kuno T., et al., Oncol. Lett. 1: 273-278, 2010.
※5 Uruno, A., et al., Molecular and Cellular Biology. (2020).
※6 NOUCHI, Rui, et al. Nutrients 15.21 (2023): 4608.
※7 中島良太, レドックスR&D戦略委員会 第1回 夏のシンポジウム(2022年)「本ワサビ末エキス(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート:6-MSITC)による 酸化ストレス抑制効果とその臨床研究報告」

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