阿波晩茶エキス末

01. 阿波晩茶エキス末とは

徳島の伝統発酵茶に秘められた、健康長寿の新たな可能性

阿波晩茶エキス末は、徳島県特産の伝統的な後発酵茶「阿波晩茶」から抽出・精製された食品原料です。最新の基礎研究により、細胞内のタンパク質やオルガネラなどを分解・再利用する「オートファジー」を活性化させる可能性が示唆されています。伝統の知恵と科学の融合により再発見された、健康長寿をサポートすることが期待される素材です。

AGING HALLMARKS

老化研究の世界基準である
AGING HALLMARKSは左図のように
12の老化要因を元に成り立っており、
阿波晩茶エキス末をスコア化し当てはめると
12個の内、5番に特化した栄養成分です(図)

このような事から、阿波晩茶エキス末は
老化制御への効果が期待される栄養成分の
ひとつとして知られています。

12の老化要因 NMN By AGING HALLMARKS

02. 徳島の伝統発酵茶「阿波晩茶」

特徴とユニークな製法について

私たちが阿波晩茶に注目したきっかけは、日頃からご愛顧いただいているお客様との何気ない会話でした。その方が健康のために飲まれているという、徳島県の山深い地域で古くから伝わる「阿波晩茶」。それは、世界のお茶の中でも極めて珍しい「後発酵茶」の一つであり、茶葉を植物性乳酸菌で発酵させるという日本独自のユニークな製法でつくられるお茶でした。紅茶が酸化発酵であるのに対し、阿波晩茶は微生物発酵という点で大きく異なります。

阿波晩茶とは?

  • 製法: 夏の遅い時期に成長した茶葉を収穫し、大釜で茹でた後、樽に漬け込んで乳酸発酵させる独特の製法
  • 味わい: 乳酸菌発酵によるほのかな酸味とコクが特徴で、カフェインが少なく、渋みが少ないため口当たりが良い(赤ちゃんや病人でも飲みやすい
  • 産地: 主に徳島県の上勝町や那賀町、美波町などの山間部で生産
  • 文化財指定: お茶では日本初となる国の重要無形民俗文化財に指定(2021年)
阿波晩茶

阿波晩茶ができるまで

その製法は、一般的な緑茶とは大きく異なります。

1. 収穫

一般的な緑茶が繊細な新芽を摘むのとは対照的に、
阿波晩茶は、真夏の太陽のエネルギーを一身に浴びた、​力強く大きな葉を枝ごと収穫することから始まります。

写真1
写真2

2. 茹で上げ

摘まれた葉は、薪を燃やす大釜で豪快に茹で上げられ、茶葉本来の酸化酵素の働きを止められます。

3. 揉みと踏み固め

ここからが、阿波晩茶づくりの真骨頂。
茹で上がった茶葉を揉んで表面に傷をつけ、巨大な木桶へと移します。
そして、まるでワインを仕込むかのように、職人が足で力強く踏み固め、
桶から空気を徹底的に追い出していくのです。​

写真3
写真4

4. 乳酸発酵(約1ヶ月)

最後に重石を載せて密閉し、待つことおよそ1ヶ月
この酸素のない世界で主役となるのが、
それぞれの家に代々棲みついている「蔵付き乳酸菌」
目には見えない小さな生命たちが、茶葉の渋み成分(カテキン)やカフェインを穏やかに分解し、
爽やかな酸味と深いコクを持つ、唯一無二の「漬物茶」へと生まれ変わらせるのです。

1200年の歴史が物語る、伝統茶の価値

徳島県の山間部に伝わる「阿波晩茶」は、平安時代に空海(弘法大師)が唐から持ち帰った※1という伝説が根強く伝わる後発酵茶です。摘み取った茶葉を大釜で茹で、桶に漬け込んで乳酸菌の力で強制的に発酵させるという独特な製法は、全国的に見てもきわめて稀有な存在であり、お茶では日本初として国の重要無形民俗文化財に指定されています。

伝説と歴史的背景

このお茶は、弘法大師の伝説と共に千年以上の時を超えて伝えられてきました。源平の合戦に敗れた平家一門が、都の文化とともにこの山深い地へ逃れてきたという伝説も残されています。

弘法大師の伝説

※画像はイメージです

江戸時代から明治時代にかけての発展

江戸時代から明治時代にかけて、阿波晩茶は重要な商品作物として発展し、地域の人々の主要な現金収入源となりました。明治15年(1882年)の『徳島県統計表』という公的な記録には、当時の「番茶(阿波晩茶のこととされる)」の生産量が約284トンと記されており、これは同年の徳島県内の緑茶生産量の倍近くに達する量でした※2

阿波晩茶

人々の暮らしとの関わり

その酸味のある独特な風味と、カフェイン含有量が少ないという特性から、赤ちゃんや病人でも飲みやすいお茶として徳島県民の食生活に深く浸透しました。熱々の阿波晩茶をかけた「茶漬け」は日常食として親しまれ、お盆には「お茶湯」として仏様に捧げられるなど、日々の暮らしと地域の儀礼文化に深く関わってきました。そして2021年、その製造技術は茶の分野で日本初となる国の重要無形民俗文化財に指定されました※3

[ 出典 ]

03. 伝統と科学の出会い

私たちは、この伝統の中に眠る先人たちの知恵と物語に、科学的な裏付けがあるのではないかと考えました。自社でその健康成分について調査を進めるうちに、私たちは「阿波晩茶」が、生命の根源的な仕組みである「オートファジー」を活性化させる可能性に行き着きます。

さらなる研究を進める中で、私たちはオートファジー研究における第一人者、吉森 保 大阪大学大学院医学系研究科 Beyond Cell Reborn学寄附講座教授※5が設立した「株式会社AutoPhagyGO」※6の存在を知ります。こうして、お客様との対話から始まった私たちの探求は、日本の伝統的な発酵文化と、生命科学の最前線を結びつける物語へと発展していきました。

オートファジーの仕組みについては
こちらの記事をご覧下さい
吉森保先生の写真

※5 吉森 保(よしもり たもつ)

大阪大学大学院医学系研究科
Beyond Cell Reborn学寄附講座教授

2019年株式会社AutoPhagyGO創業。1981年大阪大学理学部生物学科卒業。同大学院医学研究科博士課程、ヨーロッパ分子生物学研究所博士研究員などを経て、1996年オートファジー研究のパイオニア大隅良典博士(2016年ノーベル生理学・医学賞受賞)の国立基礎生物学研究所におけるラボ立ち上げに助教授として参加し、黎明期の分野を共に切り拓いた。以来、国立遺伝学研究所教授、大阪大学大学院医学系研究科教授、生命機能研究科長などを歴任し、哺乳類オートファジー研究の世界的リーダーとして活躍している。

株式会社AutoPhagyGOのロゴ

※6 株式会社AutoPhagyGO

オートファジー現象を利用した創薬や健康関連商品などの研究開発を手掛ける大阪大学発のスタートアップです。オートファジー研究で世界的に知られる、吉森教授らの研究成果を基に、2019年に設立されました。細胞の再生をつかさどるオートファジー研究の成果を通じて、広く健康長寿に貢献することを目指しています。「EY Winning Women 2021」ファイナリスト選定。「バイオテックグランプリ2021」Real Tech Fund賞受賞。日本抗加齢協会主催2023年「第5回ヘルスケアベンチャー大賞」学会賞受賞。2024年「第11回 京信・地域の起業家アワード」優秀賞受賞。https://autophagygo.com/

04. 科学的検証が示す、
阿波晩茶エキス末の可能性

阿波晩茶エキス末のもつ健康成分を科学的に検証した結果、この素材が持つ可能性が客観的なデータによって示されています。

実施された科学的検証と主な結果

  • 1. 子宮頸がん由来細胞株HeLaにおけるオートファジー誘導効果:
    ヒト子宮頸がん由来細胞株(HeLa細胞)を用いた実験により、添加量が増えるほどオートファジー活性が高まることが確認されました
  • 2. 細胞老化の抑制:
    ヒト網膜色素上皮細胞(hRPE細胞)を用いた実験により、老化関連タンパク質(p21, p53)の発現抑制が確認されました
  • 3. ヒト皮膚細胞(NHDF細胞※10)を用いた検証:
    ヒト皮膚由来の細胞を用いた実験により、ヒアルロン酸産生の増加および活性酸素発生量の抑制が確認されました
  • 4. 線虫※11を用いた検証:
    モデル生物である線虫を用いた実験により、寿命の延長および加齢に伴う運動機能低下の抑制が確認されました

1. 子宮頸がん由来細胞株HeLaにおけるオートファジー誘導効果

【実験の詳細】

ヒト子宮頸がん由来細胞株(HeLa細胞※7)を用いて、阿波晩茶エキス末のオートファジー誘導効果を評価しました。tfLC3 assay※8により、添加量が増えるほどオートファジー活性が高まることが確認されました。

実験の結果、阿波晩茶エキス末を添加したHeLa細胞では、添加量が増えるほどオートファジー活性が高まることが確認されました。

オートファジー活性の評価(tfLC3 assay)

画像の見方:
グラフについて: 縦軸はオートファジーの活性度を表しています。「阿波晩茶エキス」を加えた場合(+の棒グラフ)は、加えていない場合(ーの棒グラフ)に比べて数値が高くなっており、オートファジーが活性化していることを示しています。

※7 ヒト子宮頸がん由来細胞株HeLa(ヒーラ)細胞とは:
ヒト由来の細胞株として確立され、研究で広く使われている細胞の一つです。ヒトの細胞の一般的な反応を調べるための標準的なモデルとして利用されています。

※8 tfLC3 assay(ティーエフ・エルシー3・アッセイ)とは:
オートファジーの活性状態を視覚的に検出・測定するための実験手法です。オートファジーが起こると特定のタンパク質の性質が変化することを利用して、その活性度合いを数値化します。

[ 出典 ]

  • ・石堂美和子 他「阿波晩茶エキスのオートファジー活性亢進作用」
    (第25回日本抗加齢医学会総会, 2025年6月発表)

2. 細胞老化の抑制

【実験の詳細】

ヒト網膜色素上皮細胞(hRPE細胞)を用いて、阿波晩茶エキス末の細胞老化抑制効果を評価しました。老化関連タンパク質(p21、p53)の発現を測定した結果、阿波晩茶エキス末を添加した細胞では、これらのタンパク質の発現が抑制されることが確認されました。

ヒトの網膜の細胞(hRPE細胞:ヒト網膜色素上皮細胞)において、細胞の老化が進むと増えるタンパク質(p21、p53)の発生が抑えられることがわかりました。これは、細胞の老化スピードを緩やかにする可能性を示しています。

細胞老化マーカー p21 p53
細胞老化マーカー p21 p53

老化関連タンパク質(p21、p53)は、細胞の老化が進むと増加する指標です。阿波晩茶エキス末を添加した細胞では、これらのタンパク質の発現が抑制されることが確認されました。

画像の見方:
これは、細胞老化の指標となるタンパク質(p21、p53)の量をバンドの濃さで示した画像です。
バンド(黒い横線)が濃いほど、老化が進んでいることを意味します。「阿波晩茶エキス +」の列を見ると、「−」の列に比べてバンドが薄くなっていることがわかります。これは、阿波晩茶エキス末を加えることで、老化タンパク質の発生が抑えられたことを示しています。

※9 hRPE細胞(ヒト網膜色素上皮細胞)とは:
ヒトの網膜(目の中で光を感じる組織)にある細胞の一種で、視覚機能を維持するために重要な役割を担っています。網膜の健康を保つために欠かせない細胞です。

[ 出典 ]

  • ・石堂美和子 他「阿波晩茶エキスのオートファジー活性亢進作用」
    (第25回日本抗加齢医学会総会, 2025年6月発表)

3. ヒト皮膚細胞(NHDF細胞)を用いた検証

【実験の詳細】

正常ヒト成人皮膚線維芽細胞へ阿波晩茶エキス末およびマルトデキストリンを添加し、培養上清に含まれるヒアルロン酸量を測定しました(左図)。また、NHDF細胞に阿波晩茶エキス末を添加し培養後、CM-H2DCFDA、ピオシアニンを加えた後に発蛍光物質の蛍光強度を測定し、活性酸素量を評価しました(右図)。

ヒトの皮膚から採取した正常な細胞(NHDF細胞:正常ヒト成人皮膚線維芽細胞)を用いた実験で、阿波晩茶エキス末は、濃度に依存してヒアルロン酸産生を増加し、活性酸素発生量を抑制することが確認されました。これは、肌の潤いやハリを保ち、紫外線などのダメージから守る働きが期待できることを示唆しています。

ヒアルロン酸産生量と活性酸素発生量

グラフの見方:
左図(ヒアルロン酸産生量): グラフの高さが高いほど、ヒアルロン酸が多く作られていることを示します。阿波晩茶エキス末の濃度が高くなるにつれて、ヒアルロン酸が増加しています。

右図(活性酸素発生量): グラフの高さが低いほど、活性酸素の発生が抑えられていることを示します。阿波晩茶エキス末の濃度が高くなるにつれて、活性酸素の量が減少しています。

※10 NHDF細胞(正常ヒト成人皮膚線維芽細胞)とは: ヒトの皮膚から採取した正常な線維芽細胞(結合組織の主要な構成細胞)のことで、コラーゲンやヒアルロン酸などのタンパク質を産生する細胞です。皮膚の健康や若々しさを保つために重要な役割を担っています。

[ 出典 ]

  • ・石堂美和子 他「阿波晩茶エキスのオートファジー活性亢進作用」
    (第25回日本抗加齢医学会総会, 2025年6月発表)

4. 線虫を用いた検証

【実験の詳細】

野生型N2線虫を用いて実験を実施しました。阿波晩茶エキス末(400 μg/mL)を投与した群と、投与していない対照群において、20℃条件下での生存率および運動機能を比較評価しました。運動機能は、液体培地中における30秒間の体の屈曲回数(bending)を測定することで評価を行いました。寿命試験はカプラン・マイヤー法により生存率曲線を解析しました。

モデル生物である線虫(C. elegans)を用いた実験では、阿波晩茶エキス末を与えたグループは、与えていないグループと比較して、寿命延長作用が認められ、加齢に伴う運動機能の低下が抑制されました。これは、細胞レベルだけでなく、個体全体での健康長寿効果を示す重要な結果です。

A. 運動機能の改善

阿波晩茶エキス末を与えたグループは、対照グループと比較して、加齢に伴う運動機能の低下が有意に抑制されました。

運動機能の改善

グラフの見方: グラフは「bending assay(屈曲試験)」という実験結果を示しています。これは、線虫が30秒間に何回体を曲げることができるかを測定したものです。数値が高いほど運動機能が良好であることを示します。グラフでは、DMSO(ジメチルスルホキシド)Rapa(ラパマイシン※12阿波晩茶エキス末の3群を比較しています。3回の独立した実験すべてで、阿波晩茶エキス末を与えたグループは、DMSO対照群およびラパマイシン群と比較して有意に高い数値を示しました。

実際の線虫の屈曲試験の動画

以下の動画は、実際の線虫を用いた「bending assay(屈曲試験)」の様子を撮影したものです。
左側はDMSO(ジメチルスルホキシド)という対照群、右側は阿波晩茶エキス末を与えた群の線虫です。
動画を見ると、阿波晩茶エキス末を与えた線虫の方が活発に体を曲げていることが分かります。

対照群

対照群の線虫屈曲試験動画

阿波晩茶エキス末投与群

阿波晩茶エキス末投与群の線虫屈曲試験動画

B. 寿命の延長

さらに、線虫レベルで平均で約14%の寿命延長が確認されています。

寿命の延長

グラフの見方: グラフは生存率曲線(カプラン・マイヤー曲線)を示しています。横軸は経過日数、縦軸は生存率(%)です。赤い線が阿波晩茶エキス末を与えたグループ、黒い線が対照グループです。赤い線が右側にシフトしていることは、寿命が延長したことを意味します。3回の独立した実験すべてで、統計的に有意な寿命延長が確認されました。

※11 線虫(C. elegans)とは:
体長約1mmの小さな虫で、遺伝子の働きや老化のメカニズムを研究する際のモデル生物として広く使われています。ヒトと同じように加齢により運動機能が低下するため、健康長寿の研究に適した生物です。

※12 ラパマイシンとは:
研究の世界で広く使われている、オートファジーを活性化させることが知られている既知の化合物です。研究において、活性化効果を比較検証するための「基準(ポジティブコントロール)」として一般的に用いられています。今回の実験では、この科学的に効果が証明されているラパマイシンを比較対象として用いることで、阿波晩茶エキス末のオートファジー活性化能を客観的に評価しています。

[ 出典 ]

  • ・石堂美和子 他「阿波晩茶エキスのオートファジー活性亢進作用」
    (第25回日本抗加齢医学会総会, 2025年6月発表)

お客様との対話から見出された、徳島の伝統発酵茶「阿波晩茶」という伝統の知恵。私たちは、株式会社AutoPhagyGOのような素晴らしいパートナーと手を携え、その内に秘められた価値を科学の力で再発見しました。

日常に当たり前のように存在するもののなかにこそ、未来を豊かにする可能性が眠っていると、私たちは信じています。

これからもNOMON & Co.は、日常に潜む知恵や素材に科学の光を当て、社内外のパートナーシップを力に、皆様の暮らしに寄り添うサイエンスとしてお届けしてまいります。

老化制御が期待できる他の栄養素材